絵は描かない期間があると下手になるのか?ということについて考えてみました。
目次
絵は描かない期間があると本当に下手になるのか。
絵は描かない期間が長いと、思うように描くことができなくなる時があります。
本業であれ副業であれ、ましてや趣味で絵を描いている人でも、絵を描くことがしばらく出来ないと画力が落ちます。
これは絵を描くことだけではないと思います。
私は、以前ゴルフにはまっていたころに、プロゴルファーの方から聞いた話ですが、常にシードを維持しているトッププロの選手でも、一週間ゴルフクラブを持たないと心配だそうで、1か月クラブを持たないとそのシーズンは、もはや試合に勝てる気がしない。
とのことでした。
とはいえ、1か月や2か月クラブを持たなくても、練習の時は我々素人とは別次元の球を打ちますよね。
それには長い間、また沢山の濃く深い練習を積んできたという歴史があるからです。
それでもクラブを置いた時から必ず後退が始まります。
いまの画力になるまでどうしたか考えてみましょう。
今現在の自分の画力を、自分なりに分析してみて、満足行くところと、まだまだ全然ダメというところはどんな方でも少なからずあると思います。
しかしながらしばらく描かなくても、まあまあ満足行くと言うところは、かなり好きでそれを何度となく描いてきたり試して来たりしたところではないでしょうか。
もちろん好きなところは、やっていて楽しいのですから訓練しているという自覚はないと思いますが、苦手なところを克服したいと思って訓練してきて満足行く物ができた時には、もはや苦手な部分ではなくなっていると思います。
そうなんです。
今現在ある自分の実力とは、今までの努力や経験の積み重ねで、自分の身につけてきた結果なんです。
そしてその努力や毎日の訓練を一定期間以上に行わなければ、つけた実力はやはり後退していくのは当たり前ですよね。
もちろん絵を描き始めたころまで後退すると言っているわけではありません。
でも自分の中で腕が少し鈍ってきているにも関わらず、頭の中では得意という意識があると、本当の実力より意識の上で本のわずかに上回った意識になります。
日々の努力の積み重ねで力がついてくる理由は、本当の実力よりわずかに上回った意識と、実際の実力のギャプを埋めようと脳が働き、五感を通してギャップを埋めた量が実力向上につながるということになります。
くどい言い回しになりましたが、そのギャップを埋めずに時を費やすと、その一定期間少しづつ実力が後退していくのです。
もちろん一度泳ぐことを覚えた人が、一定期間泳がないと泳げなくなることはありません。自転車もしかりです。しかし、しっかり訓練していた時よりは明らかに鈍りますよね。
絵のジャンルによって違う?
それでは絵のジャンルによって違うことはあるのでしょうか。
これを言ってしまうと、お叱りを受けることがあるかと思いますが、ジャンルによって違いを感じることはあります。
どういうことかというと、写実に描く作品のほうがごまかしがきかないということです。
もちろん写実以外の作品も、繊細な技術で描いていることはよーっく知っていますが、写実系のほうがばれやすいということです。
絵が下手になったと思った、ちょっとしたエピソード
これもちろん副業作家程度のお話ですので、それなりに流して聞いてくださいね。
ここ数年、年度末が近づくと肖像画のご依頼を受けます。
「転勤や定年を迎える方に記念の品物を贈りたい」
そんなご依頼を3年ほど前からいただいて描いています。
そのご依頼とは、毎回鉛筆画の肖像画ということでオーダーを受けています。
初めにオーダーを頂いたころは日ごろから鉛筆画中心に描いていたので、こちらとしても張り切ってお受けしていました。
しかし昨年から描いている作品は、ほとんどアクリル画でしたので、今年のご依頼は久しぶりの鉛筆画の作品を描くことになりました。
転勤の記念品という事で、納期が決められていましたが、鉛筆画は自分の中では得意なものだと思っていたので、ありがたくオーダーを引き受けました。
早速制作に取り掛かりました。
お一人目の方の作品を描き始めると、久しぶりの鉛筆画が楽しくてはかどります。
少し違和感がありましたが何とか完成。
そしてお二人目の作品を描き始めてしばらくすると、鉛筆の走りや乗りが全く違うことに気が付きました。
仕上がったお一人目の作品をみると、気分だけは良かったのですが何とひどい仕上がり。
あの時の違和感はそれだったんです。
お二人目と三人目の方の作品を慎重に仕上げ、お一人目の方の作品は、最初からまた描きなおしました。
作者が納得できていない作品をお渡しできませんからね。
結局納期ぎりぎりになってしまいましたが、自分でも納得できてお客様にも喜んでいただけました。
やはり自分の得意なジャンルでも、しばらく手が離れていると思うようにいきません。
好きなジャンルだけに、かえってうまくいっていないことに気が付かない恐ろしさがあります。
日々の鍛錬は欠かせませんね。
渾身の作品を描くときにすること。
これは画家さんたちでは当たり前のことだと思うので興味のない方はスルーしてください。
昨年から公募への参加を考えているような作品は、構想から描き初めまでにかなり熟慮しますが、実際に描き始めるにあたっても、かなりの枚数を描きます。
中々素人の私たちでは、一枚の作品を描き上げるまでに大変な時間やエネルギーを使うのに、その前に何枚も描くなんてとてもできねーーー
なんて思ってしまいます。
しかし構想を練っている時から常に雑描き帳を持っていて、考えると同じくらいの回数を鉛筆を動かしています。
するといざキャンバスに向かった時に思いのほか捗ることに驚きました。
描けば描くほどかけるようになる。
それは当たり前なことですが、なかなかできないことですよね。
これは以前書いた「ただそのまま描くだけではなく何かを加えて魅力的な絵にする方法」にもつながります。
まとめ
今回のことがきっかけで改めて作品を創ることの深さを思い知らされました。
今年で美容師免許を取得してから37年になりました。
この仕事のことを考えても、何年頑張っても学ぶ姿勢と繰り返す訓練は美容師でいる限り永遠に続きます。
これは免許取得後10年目・20年目・30年目と節目節目に自分自身に言い聞かせてきたことです。
人は得てしてなれるもの。
これで良いは後退に通じる事。
毎日の精進が大切だと学びました。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
これからもよろしくお願いします。
washio