絵を描く 美術館巡り

軽井沢の新しい注目スポット、安藤美術館で藤田嗣治を満喫

藤田嗣治(レオナール・フジタ)の作品だけを展示する日本で初めての個人美術館「安藤美術館」が10月8日にオープンしました。

アートファンには言うまでもなく猫と少女で有名な、エコール・ド・パリを代表する世界的な画家が藤田嗣治です。

数年前から信濃毎日新聞などで、藤田の美術館が出来ると、聞いていましたが、いよいよオープンしたということで、行ってみました。

JR軽井沢駅から歩いて10分くらいの場所にあり、軽井沢でも代表的なコンサートホール、大賀ホールのある通りに堂々と開館しました。

この場所は、我が家からも車で10分くらいの場所なので、そんな近くにあの「藤田嗣治」の美術館が出来たことをうれしく思います。

今は、とてもオシャレで高級な場所になりましたが、昔はあたり一面雑木林で、私が小学校のころには、父親が草軽交通に勤務していたこともあり、学校帰りに良く寄り道をした付近です。

この美術館は、身障者の方ようの駐車場以外は無く、車で来た方は隣接した町営駐車場に駐車することになります。

この駐車場は、入庫後1時間までは無料以降4時間まで300円、12時間まで400円で駐車できます。トイレもついていて、トイレは無料で利用できます。

(情報は変動している可能性がありますので、ご利用の際はご確認願います)

 

 

 

可憐に建つ安藤美術館

 

 

いかにも軽井沢と言う風情で、レンガに覆われた2階建ての美術館は、吹き抜けになっていて、中庭を囲むようなデザインになっています。

1階にはミュージアムショップや「HARIO CAFE」があり、とてもオシャレな美術館を演出しています。

入場チケットは、1階入り口の入ったところにある、自動販売機で購入。

廊下を進んで行き入場券に印刷されているQRコードをかざします。

透明なアクリル板で出来たゲートが、眩いばかりの緑色光りを放ち開くと、入場することできます。

 

ゲートを過ぎて進んで行くと、美術館オーナーである安東ご夫妻の紹介や、藤田との出会いにまつわる出来事の紹介などが紹介されています。

 

私の藤田作品との出会い

 

管理人の私が初めて藤田の作品と出会ったのは、長野県上田市にあるサントミューゼ上田市立美術館でした。

2015年春に「「レオナール・フジタ展」が開催された時でした。

 

藤田は東京美術学校(現 東京藝術大学)を卒業。

その後日本では評価されず、大正2年に渡仏。

大正8年頃から有名な乳白色の下地に繊細な描線の作風で国際的な評価を獲得し栄華を極めます。

数々の勲章を受章し画家としての成功をゆるぎないものにし、1929年に17年ぶりに日本へと凱旋しましたが、藤田のフランスでの大成功を嫉妬まじりか、日本美術界での評判は芳しくなく「国辱」とも言われた自身の評価を、作品を通して覆したいという思いがあり、進んで戦争画を描くようになりました。

その戦争画も、日本画壇に受け入れられなかった藤田は、戦争画を一緒に描くことによって、日本画家として仲間に入れてもらいたかったという気持ちもあったかもしれません。

作品の評判は上々でしたが、日本美術界の反応は冷たく改めて藤田は日本の美術界に落胆しました。

もともと藤田は見た目の派手さとはうらはらに、周囲の評判を気にするような繊細な一面もあったようです。

安東美術館にも、その頃の戦争を題材にした作品も何点か展示されていました。

その後日本を離れた藤田はフランスにもどり、晩年フランスの国籍を取得。カトリックに入信し教会の建設に晩年を捧げました。

藤田が日本を離れるときに言い残した言葉は有名で「絵描きは絵だけを描いてください。仲間喧嘩をしないでください」そう言い残して日本を発ち二度と日本の地を踏むことは無かったそうです。

フランスに帰った藤田ですが、パリの雑誌では帰って来た藤田に「亡霊が戻って来た」などひどい表現をされます。

その後フランス国籍を取得し、日本国籍を抹消しました。

藤田がこの世を去った後も、日本では「日本を棄てた画家」などと言われ戦争になれば戦争の絵を描き、敗戦すれば国籍までも抜く。などと言われ、「正しく理解されないなら忘れてほしい」と作品の公開に慎重になり日本では藤田嗣治の没後30年にわたって大規模な作品展は開催されませんでした。

そのためか藤田嗣治と言う画家は謎に包まれた神秘の画家となりました。

安東美術館の作品は、藤田の若い頃から晩年の作品まで充実しています。

 

 

安東美術館の5つのヘ部屋

安東美術館はザックリ言うと、5つの部屋に作品が展示されています。

展示室1

二階に上る階段をあがったところの展示室1は、安東夫妻のご自宅や作品が飾られていた時の模様などが紹介されています。

 

展示室2

この部屋はフランスに渡った藤田の初期における作品がそろっています。

多くの人を魅了した「乳白色の下地」による絵はもちろん、藤田の画風の移ろいを見ることが出来ます。

この展示室から先は、盗難・防犯防止のために赤外線センサーが設置されていて、作品に近づきすぎるとセンサーが反応してブザーが鳴ります。

私は額装も気になったので、作品の裏側を見たくて近づきすぎてしまい、思い切りブザーを鳴らしてしまいました。

警備員の方が来るのではないかとドキドキしていましたが、大丈夫でした。

耳を澄ませば、あちこちでセンサーに反応してブザーを鳴らしている人がいました。

まあ実際にそこから作品を持ち去ろうという輩はいないと思いますが、大切な作品が傷められないように抑止の意味でもあるのでしょう。

いずれにしろマナー良く鑑賞しましょう(反省)

 

展示室3

ここでは、藤田がアメリカ大陸を旅した後、第二次世界大戦の勃発により、日本に帰国したころの藤田の作品が展示されています。

コレクションの中には、藤田の楽しく華やかな作品、光の部分だけではなく、影があったことを知る作品にも注目をしたことがうかがわれます。

数々の国威発揚のための絵画や、印刷物・雑誌なども展示されています。

 

展示室4

戦争をきっかけに大きく挫折を味わった藤田。作風が大きく変化していることでわかります。

そして藤田が描き始めたのは、可愛い少女の絵でした。

画題は、やがて無垢なる少女から清らかな聖女へと変わります。

作品はあたかもイコン(聖画像)のよううな聖母子像などに変わっていきました。

この部屋の壁は紺色で、そこにかかる作品の少女たちのまなざしは、見る者の心を揺さぶられます。

私自身も自然と涙が出てくる思いました。

 

展示室5

この部屋は安東美術館の中核をなす部屋で、藤田の終の棲家「メゾン=アトリエ・フジタ」の壁面に描かれた聖母マリアに抱かれた少女に似ていると感じて安藤夫妻が購入したもの。

中にはコレクションとして珍しい少年象も見られ、いろいろな猫ちゃんたちもいて、雰囲気ある少女に抱かれた猫たちはとても素晴らしい藤田ならではの作品です。

この展示室は安東美術館で唯一写真撮影の許された部屋で、作品を3点以上一つの画面に入れれば写しても良いという事で、私も沢山の画像を収めてきました。

 

 

 

++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

 

この素晴らしい美術館が、自分が住むこの軽井沢に出来て幸せです。

長野県は美術館・博物館の数では日本で一番多く、全国の10%が集中しているそうです。そんな中また一つ素晴らしい美術館が長野県に誕生したことは、うれしいことです。

 

所在地:長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢東34-10

電話番号:0267-42-1230

開館時間:4月〜10月 10時から17時 11月〜3月 10時から16時(入館は閉館の30分前)

休館日:水曜日(祝日の場合翌日)

観覧料:一般2000円/高校生以下1000円/未就学児無料

※年末年始・2月にメンテナンスのための休館になる場合があります。

※各種割引・イベントなどは公式サイトをご覧ください。

https://www.musee-ando.com/

 

-絵を描く, 美術館巡り

軽井沢でアート生活をもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む

Copyright© 軽井沢でアート生活 , 2024 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.