こんにちは、わしおほだかです。
今日は、美容室を営んでいた頃の思い出と、私が初めて「本気で描いた1枚」についてお話しさせてください。
目次
一本の線が、誰かの笑顔につながっていた頃
美容師として長い年月を過ごすなかで、私は多くの女性と出会いました。
髪型の相談を通じて、人生の節目に立ち会うこともありました。
嬉しい日も、涙に暮れる日も――そのどれもが、私にとっては忘れられない時間です。
そんな日々のなか、ずっと心の中にいたのが、オードリー・ヘップバーンでした。
その凛とした横顔、静かな気品。いつも私の憧れであり、心のお守りのような存在でした。
ある日、ふと鉛筆を手に取り、彼女の横顔を描いてみようと思いました。
線とハサミと、心の手触り
描いていくうちに気づいたことがありました。
鉛筆で線を引いていくその手の動きが、髪をカットする感覚と、どこか似ていたのです。
輪郭をなぞり、影をつけ、少しずつ形を浮かび上がらせる――
それは、髪のラインを整え、美しさを引き出していくカットの作業に、どこか重なるものがありました。
この気づきがとても嬉しくて、私は次々と鉛筆画を描きはじめました。
そして、できあがった絵を店の壁に飾るようになったのです。
「これ、先生が描いたの?」「すごい…こんな才能があったなんて」
そんな言葉をかけてくださるお客様とのやり取りが、本当に嬉しくて。
作品を通じて生まれる会話は、私の心に静かな灯をともしてくれました。
あの絵は、美容師として生きてきた私の“原点”を映しているように思います。
人の姿を見つめ、その中にある美しさを、かたちにしたいという想いは、今も変わらず私の中に生き続けています。
父の記憶、蘇る線
最近ふと思い出したのは、父のことでした。
サラリーマンをしていた父は、「本当は画家になりたかった」とよく話していました。
病気で自宅療養をしていたころ、枕元のノートに静かに絵を描いていた姿が、今も目に浮かびます。
叶えられなかった父の夢。でもその静かな情熱が、いつのまにか私の中に息づいていたのかもしれません。
子供の頃、両親と出かけたスケッチ旅行も、今となっては私の「絵の原点」です。
小さなキャンバスに、家族で風景を切り取ったあの日々も、私の大切な記憶のひとつです。
これからも、心にある風景を
今は「髪を切る人」ではなく、「絵を描く人」としての日々を歩んでいます。
けれど、あの頃お客様と交わした笑顔や、心をふれあわせた会話は、今も私の中で大切な宝物です。
これからも、絵と言葉を通して、そんな小さな風景を描き続けていけたらと思います。
読んでくださって、本当にありがとうございました。
🌾次回は、美容室を閉店したあと、本格的に描きはじめた作品について、お話しさせてください。
“風が吹き抜けるような心の景色”を描いた、あの絵について──またここで、お会いできたら嬉しいです。
制作の思いや日々の記録は、noteでも綴っています。
よろしければご覧になってください。

