こんにちは、Washioです。
ペットの絵のご依頼で、飼い主さんとのツーショットを頼まれました。
動物の絵を描くのは、人間の絵を描くより少しだけ楽なところがあります。
人物画を描くときは、モデルさんの特徴をしっかり捉えて描かないと、モデルさんと作品に描かれた人物とは別人になってしまうことがあります。
肖像画の場合は特に本人と似ていないでは許されませんよね。
動物の場合、犬種の特徴や個体の特徴が入っていれば大丈夫。
人間のように少し違うだけで、似てないよねとは言われません。
目次
今回は愛犬と一緒の肖像画のご依頼を受けました。
今回は愛犬と飼い主さんが、一緒にスマホで写メした写真をお預かりしました。
前回は愛犬だけのご依頼をいただいて、今回で二度目のご注文です。
写真自体は、全体のピントが合っていない手振れをした写真なのですが、なんとなくアートぽく撮れていてご本人はとても気に入っているお写真だそうです。
飼い主さんのお顔もハレーションが起きていて、白い感じになっていましたが、そのままで描いてほしいという事でお受けしました。
サイズはF6 。キャンバスにアクリル絵の具で描きました。
犬と人間を一緒に描く難しさ
以前に肖像画のオーダーを頂いた時のことです。
写真を頂いてそれを描いたのですが、私としては少し気を使ってしわやシミを減らし、少しだけ若々しく描いたのですが、ご本人は自分自身がもっと若々しいと感じていたようでした。
「私、こんなに老けているかな?」の一言で、もっと慎重に描けばよかったと思いました。
そんなことがあってから、肖像画のオーダーを受けるときは慎重になりました。
あまりご本人と違ってもいけないし、そのまま描いても恨まれる、人の顔を描くのって難しいともいます。
余談になりますが、この時思い出したのは、フランスのオランジェリー美術館にある「シャネル嬢の肖像」の話です。
このシャネルとは「シャネルNO5」で有名な香水を発表して大ヒットさせたココ・シャネルのこと。
そのシャネルに肖像画を依頼されたのは甘美なる女性の世界を描いた、あのマリー・ローランサンでした。
この憂いを帯びた雰囲気のある作品は依頼者のココ・シャネルには気に入られなかったそうで、受け取りを拒否されたようです。
シャネル自信が本当はもっとエネルギッシュな女性を描いてほしかったのでしょう。
受け取りを拒否されたローランサンはこう語ったそうです。
「シャネルは有能な女性だが、しょせんオーヴェルニュの田舎娘。私の作品を理解できない」
私はここまで自信の塊ではありませんので、ご依頼者の気に入った肖像画が描けるように精進しようと思いました(笑)
お渡しした愛犬と飼い主さんの肖像画、とても喜んでいただきました
お渡しした愛犬と飼い主さんの肖像画は、とても喜んでいただきました。
今回はもともとハレーションが起きた写真でしたし、ぶれた感じもアートぽくて良かったので若く描こうとかそんな気遣いは必要ありませんでした。
このワンちゃんは今年天国に行ってしまい、飼い主さんはとてもさみしい思いをしていました。
前回ご依頼いただいた、ワンちゃんだけの作品はこちらなのですが、それがきっかけで今回のご依頼をいただきました。
改めて感じましたが、ご依頼いただいた作品は一切手を抜かずに、自分で本当に納得ができる物をお渡しすることが大切だなと感じました。
何より飼い主さんが、今はいないワンちゃんのことを思い出して少しでも癒されるようでしたら、画家として最高の幸せです。
この絵を描いた時は、私自身も愛犬を亡くして3年目くらいの時でしたので、ご依頼者の気持ちが痛いほどわかりました。
写真を見ると悲しくてやりきれない。
でも亡くなっていても大切なワンコの顔は見たいと言いう、そんな気持ちでしょう。
私はペットの絵を描くときは、必ず性別・名前・写真を写したと時の年齢を聞きます。
そして描いている時も、何度となく名前を呼んだりしながら作業を進めます。
他人が見れば気持ち悪い作業風景でしょね(笑)
特に犬を描いている時は、自分が飼っていた愛犬のことを思い出してしまいます。
そんな気持ちを込めて描くと、必ずお客様は喜んでくれ、なかにはその場で涙を流す方もいました。
そんな時は本当に画家冥利に尽きますよね。
お客様に喜んでいただくための絵かきが肝に銘じる事
当たり前のようですが、ご依頼いただいたお客様に喜んでいただける作品(ペット)を描くポイントをまとめてみました。
- 写真をお預かりするときに、描いてほしい構図の物以外にも何枚か写真をお預かりする。
- ペットの性別・名前・写真の年齢を聞く。
- 背景を入れるかどうか確認する。
上記の3点を確認するだけで、作品の仕上がりが違ってきます。
写真をお預かりするときに、描いてほしい構図の物以外にも何枚か写真をお預かりする。
これも当たり前のようですが、一枚の写真だけではつかみきれないペットの雰囲気ってありますよね。
例えば見えている柄のつながりを他の写真で確かめるだけでも表現の仕方が断然違います。
ペットの性別・名前・写真の年齢を聞く。
オスなのかメスなのか全くわからないペットを描くのは何か違います。
名前もその時の年齢も知ったうえで描くことで入る気持ちが違いますよね。
背景を入れるかどうか確認する。
これは飼い主によっていろいろ違いました。
背景があったほうがその時の記憶がはっきりよみがえってきて嬉しい。という方もいましたし、ペットだけを強調して描いてほしいから背景はいらない。という方もいました。
これは確認したほうが安心して制作できるってことですよね。
自分でも絵の依頼をしてみましょう。
お客様サイドで考えるとよくわかりますが、なかなかお客様の気持ちになて考えるのは難しいですよね。
それには自分でも一度作品の依頼をしてみましょう。
そうすればご依頼者の気もちがわかります。
私も以前作品を依頼して、出来上がったものを受け取ったときに作家さんの苦心した跡が感じられるものだったのでとても嬉しかったことを覚えています。
この作者は本当に私のことを思って作品を描いてくれたんだな。
確かに伝わってきました。
私はご依頼を頂いた時に、必ずその出来事を思い出します。
というわけでもちろん自分でも楽しく描くことは大切ですが、お渡しするために妥協はしないで作品創りに励みましょう。
今回は全く当たり前のことばかり書きました。
これは毎回キャンバスの前に向かうときに自分に言い聞かせていることです。
絵を描くって本当に楽しいですね。
絵を描くことと出会えて本当に幸せです。
ここまで読んでいただいてありがとうございました、これからもよろしくお願いします。
washio