以前に「模写やトレースをすると、画力が下がるって本当でしょうか?」
という記事を書きましたが、今回はトレースについて改めて考えてみたいと思います。
過去記事です↓
目次
トレースをすると、画力が下がるって本当でしょうか?
結論から言うと現在のwashioの考えではトレースばかりしていると画力は下がります。
しかしwashio個人の考を言葉を選ばずに言うと、画力が下がったってトレースをしてカタチがとれればいいじゃん!てことです。
私自身の話しで恐縮ですが、昨年末から続けてお仕事をいただいて、納期も比較的短い依頼だったのでいくつかの作品はトレースをしました。
トレースをした作品を数点描き上げ、そして自分のための作品取り掛かると、やはり思っていた通りはかどりません。
ご依頼をいただいていた作品はすべて鉛筆画で、お客様にお持ちいただいたスナップ写真から起こしたものでした。
パソコンに取り込んで画像を修正して、作品のサイズにプリントアウト。
それをトレース台で写して、本描きに入るのですが、鉛筆画の特徴の細密に描いたところを好まれたご依頼だったので、細かいところまで正確にトレースして描き始めました。
写真の濃淡やカタチを最優先にして描き進め、後半に人物の表情や景色の陰や光を強調させて体裁よく仕上げるやり方をしたため、人体の構造なんてものはほとんど頭になく描き進めました。
そんな仕事を数カ月続けると、デッサン力はかなり落ちてきます。
トレースを使い分けよう
お客様からのご依頼は、お客様のご希望が最優先なので、自分の画力だとか作品のストーリーなどは別物です。
色々な絵の描き方、絵描きの姿がありますが、人それぞれでいいと思っています。
特に細密画などは正確さが大切ですし、時間があればじっくり物や写真を目で見ながら、鉛筆を走らせればよいのですが、時間が限られている場合はトレースが良いでしょう。私はお客様からのご依頼はほぼトレースを取り入れます。
ただキャンバスにトレースをして描こうと思うと、トレース台が使えないしトレーシングペーパーなどを使ってまでトレースするのはいかがなものかと思い、モノや写真をしっかり見ながら描きますし多かれ少なかれデフォルメするので、トレースしたとしてもかなりトレースとは違うものになるため、意味はなくなってしまうと思いますが、納期までの時間が短い時などは、応急手当としてレースする場合もあります。
ですので作品の特徴を考えてトレースを使うようにしています。
しかし画力(デッサン力)が下がるのは良いことではないので、時間がとれるとアトリエの石膏像を描くようにしています。
デッサンの練習はしましょう
先ほども触れましたが、石膏像は一体持っているとよいと思います。
私はジュリアーノ・メジチの半面(面取り)を持っていますが、面取りした石膏像のほうが、当たり前のようですがはっきりと光から陰にうつるポイントがわかり勉強になります。
美大や絵画教室で学んだことが全くないので、こうしたアイテムは自分の画力を落とさない大きな武器になります。
そして現代はパソコン・タブレットなどが利用できる時代です。
こうした武器を使わない手はありませんので、大いに活用しましょう。
以前の記事でもご紹介しましたが、スマホアプリの「ArtPose」はとても良くできたアプリです。
現在では「ArtPose Pro」という2人までモデルを追加出来て男女も切り替えられる進化したものもあるそうです。
washio的トレース方法
私がトレースをするときは、もちろん普通のトレース台を使うことがほとんどですが、麻張りキャンバスにトレースしたい時などは、一般のトレース台の光量では、ほとんど見えなくてトレースることが出来ません。
キャンバスに鉛筆画というのはありませんが、仕事で急ぎの時は簡単にトレースしてから描き始めるのがとても効率的ですので、キャンバスにトレースすることもあります。
その時は山田照明のZ-LIGHT LEDデスクライト使います。
とても子供じみた使いかたですが、これがとても良いのです。
試用する写真などを希望のサイズにプリントアウトして、キャンバスの裏にはりつけ、Z-ILGHTを背後からあててトレースすると、トレース台では全くと言っていいほど見えなかったものが、しっかり見えてきます。
木炭などを使いトレースすると、とても短時間であたりが取れます。
これもお客様からのご依頼で時間がないときなどは重宝するやり方です。
お客様からのご注文にお応えするのに邪道も何もありません。
お客様の満足を得るためにはいろいろな方法を考えましょう。
まとめ
トレースをすると画力が下がるというのは、トレースでしか絵を描かなくなるとデッサン力はどんどん下がると言うことです。
自分の作品がトレースだけで満足いけばそれはそれで良いと私は思っていて、画家がどのような方法で作品を作り上げるかはその画家の自由です。
トレースで描いている絵描きなんてダメだと言っている、仕事の無い画家の意見は無視しましょう。
おススメ
トレースを続けていて、人の顔や体カラダが描けなくなったら石膏像を描くのもいいのですが、手っ取り早く感を取り戻すには、この本を頼りにします。
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これはマンガの本じゃんと言う絵の仲間がいますが、そんな低いプライド捨ててこの本を作っと読み直すと、不思議とスーッとまた描けるようになります。
おすすめです。