トレースばかりしていると画力が下がる。
模写は画力をつけるための必要な過程だ。
これはよく聞くことですが、トレースばかりしていると本当に絵が下手になるのでしょうか。
模写は本当に画力を上げるために必要なのでしょうか。
トレースと模写、同じようなことだと思うけど言われることが真逆だったりする。
この辺のことをわたくし「washio」的に考えてみたいと思います。
目次
トレースは画力を下げるのか。
イラスト制作時の「トレース」または「トレス」とは、元となるイラストや写真の上に薄い紙(トレーシングペーパー)をのせ、線を上から鉛筆やペンなどでなぞって写していく技法のこと。
今はトレース台が安価で購入できるようになり、元写真やイラストの上に画用紙、またはケント紙などをのせて、下からLEDライトを照らすと、元写真やイラストがしっかり写し出されて楽にトレースできます。
またトレーシングペーパーも買えなかった頃は、元画をケント紙などの上にのせて、めくったり戻したりを手早く繰り返して、目に残る残像を利用してトレースしていました。
見本をそのまま写せるトレースは、下にある絵をそのままなぞるため、ただ練習の枚数を重ねるだけでは、画力が上がりづらい気がします。
しかし、綺麗な線を引く練習や、細かい部分の表現を描いて覚える練習としては効果があり何も考えずに線をなぞるのではなく、元画に使われている技術を吸収するつもりで、よく観察しながらトレースするといいでしょう。
模写は画力を下げるのか。
模写はトレースと違い、元画をみほんに置き、それを見ながら描いて行く。
それは、元画をしっかり観察しなけれが元画からどんどんはなれていってしまうので、観察すると言った意味ではとても良い勉強になります。
私もデザイン学校に通っていたころ、ある授業で「国立西洋美術館に行って、展示作品を模写してきなさい。」というお題がありました。
その時の講師曰く「国立西洋美術館で模写していると、監視員の人に怒られるから、作品をまず目に焼き付けて、監視員の目を盗んで素早く少しずつスケッチブックに描きなさい。」
頭と体のバランス、腕の位置、脚の角度。しっかり見ないと頭に残りません。
頭に残らないと、手が動かせない。
その時本当に良く見るということが、いかに大切な事かが理解できました。
その時の講師の教え方も、今思えば少し乱暴な気もしますが、確かに物を観察しよく見る、ということを分からせてくれた出来事でした。
もっとも、その頃の西洋美術館の監視員の方たちは、「また美術学校の学生が来ているな」くらいの感じで見て見ぬふりをしてくれていたような気がします。
出品する作品に利用しても良いのか?
模写やトレースは画力を上げるための練習に使うのが基本だと学生のころから教わってきました。
参考にした、資料として利用した。は作者の気持ちに大きくゆだねるところ。
また好きな画家の模写を練習としてたくさんしているとだんだん作風も模写した画家に似てきてしまいます。
これもなかなか難しい問題です。
この話を掘り下げると「盗作」「パクリ」というタイトルで考えなくてはならないので、またの機会に取り上げたいと思います。
まとめ
模写もトレースも、それを行うときの目的と考え方で、画力を上げることになったり、下げてしまったりすることになるのではないでしょうか。
模写もトレースも行うときは、映すという意識ではなく被写体の形を理解して描くことが大切だと思います。
私も写真を模写するときは、デッサン人形やArt Poseなどを使いながら描くようにしています。
模写も沢山すると(私の場合人物が多い)気に入ったポーズは楽に描けるようになります。
PS.
プロの画家たちもトレースは多用しています。
最終的に仕上げる作品に至るまでに、トレースをしたり、それに描き加えてみたりと、トレースを利用しています。
トレースだけに頼るのでなければ、全く問題はないと思います。
こんな風に利用することもあります。
こちらも見てみてください。
あくまでもwashio的利用です。
参考までに。