目次
「その子を、ただ描くのではなく」
先日は、ペットの絵を描くことが、自分にとって技術面でも心の姿勢としても、とても大切なトレーニングになるというお話をしました。
誰かのために心を込めて手を動かす——。その基本に、いつでも立ち戻れるという意味でも、私にとっては大切な時間です。
今日は、そんな「ペットの絵」のご依頼を通して、また一歩、自分の中で変化があったことについてお話ししようと思います。
モデルの姿を越えて、その存在を描くということ
先日いただいたご依頼で、ワンちゃんの絵を描かせていただいたのですが、描いている途中でふと気づいたことがありました。
私はこれまで、いただいたお写真をもとに、なるべく忠実にその子の姿をキャンバスに再現してきました。
その子の可愛さや、愛おしさを大切に表現することを第一に、絵筆を進めていたと思います。
けれど今回は、もう一歩踏み込んでみようと思いました。
それは「その子をそのまま描く」のではなく、
「その子をモデルにした絵画を創る」
という意識で取り組んでみたのです。
言葉にすれば近いように思えますが、私の中ではこの違いはとても大きく感じられました。
単に似せて描くだけでなく、その子がそこにいる「空気」や「気配」、その場所に残した存在感まで、キャンバスに宿らせたい。
そんな想いで向き合いました。
その子をモデルにした絵画として仕上げました。
《まなざしの余韻》
完成した絵を眺めながら思ったのは、
「もしかすると、これは見る人には違いがわからないかもしれない」ということです。
でも、毎日その子の姿を見ていたご家族が、日々の暮らしの中でふと絵を見つめたとき、
そこに小さな変化や、空気の揺らぎを感じ取ってもらえたなら。
それは描いた者として、何よりの喜びです。
小さな違いを積み重ねて
こうした気づきや、試みが、
少しずつでも「わしおほだか」の絵の個性を育てていってくれるのではないかと思っています。
幻想風景を描く時とはまったく違う技法で描いていますが、
作品に向かう気持ちは、どちらも同じです。
一枚の絵が、誰かの心の中で何かをふと動かしてくれるような存在になれたら——。
そんな願いとともに、また次のキャンバスに向かいます。
本日も読んでいただき、ありがとうございました。
絵のこと、珈琲焙煎のこと、軽井沢での思い出など、これからも楽しく綴っていけたらと思っています。
次回もどうぞよろしくお願いいたします。

